判例編13:成年後見人が特別縁故者になれるのか?【相続のキホンを徹底解説!】
状況
一郎さんは、太郎さんの遠戚にあたり、近くに住んで緊密な交流がありましたが、花子さんと結婚し県外へ引越しました。
その後も、お中元・お歳暮などの交流はありましたが、40年くらい会うことはなかったものの、
再会し、太郎さんが特別養護老人ホームへの入所するにあたり、花子さんが身元引受人となったり、その後、成年後見人になり無報酬で財産管理を行いました。
一郎さんと花子さんは、太郎さんが亡くなるまでの8年間で40回近く老人ホームに通い、
そのうち4分の3は後見人としての職務費用として実費を太郎さんの財産からもらったものの、4分の1は自費で訪問していました。
その後、太郎さんは亡くなりましたが相続人がいません。
一郎さん花子さんが葬儀や法要を行ない費用も負担しました。
一郎さん・花子さんは、太郎さんの特別縁故者にあたるとして、家庭裁判所に申立をしました。
「特別縁故者」の制度は、被相続人に相続人がいない場合に、「被相続人と生計を同じくしていた者」「被相続人の療養看護に務めた者」「その他被相続人と特別の縁故があった者」に被相続人の財産の全部又は一部を与えることができる、というものです。
親族関係が近い遠いという判断ではなく、実質的に縁故の濃淡を基準に判断されます
例えば、内縁の配偶者などが特別縁故者になるケースもあります。
そこで、「成年後見人」が「特別縁故者」になれるのかという問題があります。
成年後見人は、報酬や実費を被後見人の財産から支出することもあって、特別の縁故とまでは言えないのではないかという疑問が出てきます。
裁判所は、花子さんは成年後見人を無報酬で行っていたこと、一郎さんも花子さんも自費で老人ホームに通ったり葬儀や法要も執り行ったことから、
特別縁故者に該当し、財産を分与すると判断しました。
逆に、「成年後見人」だからと言って当然「特別縁故者」になるわけではない、ということは気をつけておかなければなりませんね。
どれだけ誠心誠意接していたか、報酬以上に献身的に尽くしたかなどが判断の基準になるものと思われます。
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