相続の専門家の種類と選び方を相続専門の司法書士が徹底解説!
身近な方が亡くなったときに、誰に何を相談すればよいのか、戸惑ってしまう方は多いでしょう。
また、相続が開始する前に相談したいときもあります。
普段のつきあいから親戚や友人をたずね、さらに専門家に相談するという方もあるでしょう。
相続は誰にでもおこる可能性があるものですが、何度も経験するものではありません。
そのため、まず「誰に相談すればよいのか」が最初の疑問です。
この記事では、相続について誰に相談すればよいのか、相談先の選び方や相続手続きについて解説します。
相続の相談は誰にする?
相続について相談するとき、主な相談先は以下の8つです。
①弁護士 ②税理士 ③司法書士 ④行政書士 ⑤銀行 ⑥役所・役場 ⑦法務局 ⑧税務署
相続が始まると相続税のこと、不動産や自動車の名義書換え、相続人同士で円滑に話し合いができないなど、いろいろとわからないことや複雑な問題がでてきます。
相続手続きには、相続放棄*は3ヶ月、準確定申告*は4ヶ月、相続税の申告は10ヶ月など期限が制限されているものがあります。
悩んでいる間にたちまち期限が過ぎてしまいます。
相続が発生したらまずは、専門家に相談することが重要です。
相続の相談が可能な専門家にはそれぞれに専門分野や特色があるので、相談内容ごとに適した相談先があります。
相談先と適した相談内容を簡単な表にしました。
相続の相談先と相談できる内容
弁護士 |
法律全般の専門家です。 紛争が予想される場合に適しています。 |
税理士 |
税金の専門家です。 相続税申告のご相談に適しています。 |
司法書士 |
登記など法務局・裁判所へ提出する書類作成の専門家です。 相続財産の中に不動産が含まれている場合のご相談に適しています。 |
行政書士 |
弁護士・税理士・司法書士が専門とする以外の役所への書類作成の専門家です。 |
銀行 |
預金の相続や遺言信託で関わります。 |
市役所・役場 |
戸籍の収集で関わるほか、弁護士・税理士・司法書士など資格者の無料相談を受け付けている役所もあります。 |
法務局 |
登記を扱う役所です。 |
税務署 |
税金を扱う役所です。 |
万一専門が違っていても資格者同士が連携していることが多いので、最適な相談相手を紹介してもらえるでしょう。
相談したいことを整理して相談してみてください。
*相続放棄
相続はプラスの財産も借入金などのマイナスの財産も全部まとめて引き継ぎます。
マイナスの財産が多い場合や相続に関わりたくないときに相続放棄をすれば初めから相続人ではなかったことになります。
*準確定申告
亡くなった方の確定申告を相続人がしなければなりません。
この申告を準確定申告といいます。
弁護士・税理士・司法書士に相談できる相続のこと・メリット
上記の相続に関連する資格者のなかで特に相続に関係することが多い弁護士・税理士・司法書士に相談できることやメリットなどについて詳しく解説します。
弁護士
弁護士は、法律全般の専門家です。
弁護士は扱う法律も幅広いため企業法務や外国との取引法務、不動産など得意とする分野に特化している方もいます。
相続を専門的に扱っているか確認しましょう。
弁護士は「遺産分割の協議がうまくいかない」「相続が発生する前にもめないようにしておきたい」など当事者間に紛争が予想されるときに相談するとよいでしょう。
もめているときに代理人となって相手方と交渉できるのは弁護士だけです。
税理士
税理士は、税金の専門家です。
税金については、税務署でも相談にのってくれますが、税務署はどうしても敷居が高いイメージがあり、相談しにくい面があるでしょう。
税理士は民間の専門家なので親身になって相談にのってくれます。
相続税には小規模宅地の特例*や配偶者控除*、みなし相続財産*など複雑な規定があるので、間違えると高額な相続税を支払うことになってしまいます。
相続が発生してからはもちろんですが、相続が発生する前に相続税について相談するとよいでしょう。
*小規模宅地の特例
一定の要件にあてはまる土地を相続した時に評価額を5割~8割減額できる制度
*配偶者控除
配偶者が相続すれば1億6,000万円または法定相続分を限度に相続税が非課税になる制度
*みなし相続財産
生命保険や死亡退職金など民法上の相続財産ではないものの相続税の課税対象になるもの
司法書士
司法書士は登記の専門家であり、裁判所に提出する書類作成の専門家です。
たとえば、相続登記には亡くなった方が出生してから死亡までの連続する戸籍謄本などが必要ですが、転籍を繰り返したり家族構成が変わったりすると戸籍を集めるのも難しくなります。
収集が大変な戸籍も司法書士に依頼することが出来ます。
また、相続に関わりたくないときにする「相続放棄の申立」、「自筆証書遺言の検認申立*」「相続人に未成年者がいるための特別代理人選任申立*」の申立書の作成なども職務範囲になります。
*自筆証書遺言の検認申立
公正証書や自筆証書遺言保管制度を利用しない自筆証書遺言は家庭裁判所で検認手続きをしなければ遺言書として利用できません。
*相続人に未成年者がいるための特別代理人選任申立
親と未成年者の子が共同相続人の場合、親と子(親が子の法定代理人)は利益相反になるので親と子の間で遺産分割協議ができません。
協議のためには特別代理人の選任が必要です。
相続した財産に不動産があるなら司法書士への相談がおすすめの理由
相続財産の中に不動産があるなら司法書士に相談することをおすすめします。
司法書士は不動産の相続登記はもちろんですが、相続に関するあらゆるサービスが提供できるからです。
全国世帯の約半数で不動産の相続登記が必要
平成30年の統計調査によると約半数の世帯が住宅の敷地を所有しており、不動産の相続登記が必要です。
銀行の預貯金の相続手続きにも、亡くなった方の戸籍謄本など不動産の相続登記と共通の資料が必要です。
不動産があれば初めから司法書士に依頼すれば戸籍を集めてくれるので、手間も費用も節約できます。
しかも、「法定相続証明制度*」を利用して預貯金の相続手続きを簡単にできるようにアドバイスしてくれるので便利です。
*法定相続証明制度
法務局が法定相続人の情報を証明してくれる制度で無料です。
法定相続証明があれば金融機関ごとに戸籍謄本などの資料を提供する必要がなくなるので便利です。
司法書士に依頼できる相続のこと
自筆証書遺言の支援
法務局が扱っている「自筆証書遺言保管制度」についても支援してもらえます。
保管の申出は、ご本人に法務局に出向いていただく必要がありますが、自筆証書遺言の様式や必要書類のアドバイスなど適切な支援が可能です。
法務局では自筆証書遺言を保管してくれますが、内容についての審査はしてくれません。
自筆証書遺言では財産の特定が不十分なために、せっかくの遺言書が利用できないことがあります。
司法書士に相談することでせっかく作った遺言書が利用できないことがなくなります。
なお、法務局の自筆証書遺言保管制度を利用すれば家庭裁判所での検認手続きが不要になります。
家族信託の支援
最近では、相続のために家族信託を利用する方が増えています。
家族信託には登記が必要なので、家族信託の設計から登記まで相談できる司法書士は心強い相談相手になります。
相続登記が義務化されます!
相続した財産に不動産がある場合、司法書士への相談がおすすめである理由の1つとして、「相続登記の義務化」があります。
相続登記は、令和6年4月1日から義務化されます。
これまでは相続登記は義務ではなく、登記を行わなくても罰則等ありませんでしたが、令和6年4月1日からは相続登記が義務化されますので、相続した財産の中に不動産が含まれる場合、必ず登記をする必要があります。
令和3年に民法が改正され相続登記は令和6年から、住所変更登記は令和8年までに申請が義務化されることになりました。
- 相続が開始したことを知った時
- 所有権を取得したことを知った時
から3年以内に相続登記をしなければならなくなります。
この義務は施行前に開始した相続にも適用されるので遅くとも令和9年4月1日までには相続登記をしなければなりません。
申請義務違反には「10万円以下の過料」のペナルティがあります。
期限内に相続登記ができないときは?
遺産分割協議がまとまらないと期限内に相続登記ができないこともあります。
このようなときには、「相続人申告登記」ができます。
この申告は相続人の一人からでき、申告した方は登記義務を果たしたことになります。
申告にあたって他の相続人の同意や他の相続人との相続関係を証明する資料は不要です。
なお、申告の登録免許税は非課税となっています。
相続登記に関するコラム
法務局から相続登記されていませんという通知がきていませんか?>>
【相続登記の義務化】いつから?登記をしてないと罰金もあるって本当?>>
まとめ
この記事では、相続についての相談先について解説しました。
相続した財産の中に不動産があるなら相続に詳しい司法書士への相談がおすすめです。
当事務所は、相続手続きを専門にしており、これまで1,500件以上のご相談をお受けしております。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
また、弁護士や税理士とも提携しているのでワンストップで相続問題を解決・整理することができます。