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遺言書の書き方~遺留分にも注意!~

遺言の相談

遺言書には大きくわけて「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」があり、公正証書遺言は公証人が作成するので内容や様式も守られる反面費用がかかります。
一方で自筆証書遺言だと費用がかからず、いつでも何度でも作成できるメリットがありますが、様式不備や内容が不明確なため利用できないおそれがあります。
この記事では、自筆証書遺言の書き方や遺留分など遺言書を作成するうえで気をつけておきたいことについて解説します。

遺言でできること

遺言をすることで次のようなことができます。

・相続・遺贈・寄付など相続財産の帰趨の指定
・特別受益(生前贈与や遺贈)の持戻し免除
・遺産分割の禁止
・認知
・相続人の廃除および廃除の取り消し
・未成年後見人の指定
・相続人相互の担保責任の免除や減免・・など

その他「付言事項」といい、これらの法律行為以外の相続人に伝えたいことを書いておくこともできます。
遺言書を利用して残された家族に思いを伝えてはどうでしょうか。
特に遺言によって相続人のうち特定の誰かに財産を残すような場合にはなぜそうしたいのかその理由を書いておくことで遺留分侵害額請求など相続人間での争いを防ぐことができることもあるでしょう。

遺言書の様式を守る

せっかく遺言書を残すので使える遺言書を作成しましょう。
民法で自筆証書遺言の様式が法定されています。

財産目録を除いて全文を手書きしなければなりません。
そのため、ビデオや録音だと遺言として利用できないので注意しましょう。

自筆をするのが難しいときには自筆証書遺言ではなく「公正証書遺言」を選択するとよいでしょう。
日付を記入し、署名押印をします。

署名とは自筆で氏名を書き記すこと、また自書された氏名のことを言います。自書やサインと同じ意味です。
日付は西暦でも和暦でもかまいません。

押印は印鑑証明書の印鑑(実印)でなくても認印でかまいません。
目録はワープロやコピーなどを利用して作成することができます。

ただし、ページごとに署名・押印をしなければなりません。
遺言書の訂正は可能ですが訂正方法が定められているので、できれば新しく書き直した方が安心です。

遺言書は何度でも作成できます。
日付を記入しますから、以前の遺言書と矛盾するところは日付が新しいものが有効なものとして扱われます。

なお、遺言書を作成する筆記具や用紙に制限はないのですが、鉛筆や消えるボールペンなどは避け、用紙も感熱紙は避け破れにくいものを選ぶことをおすすめします。
また、縦書きでも横書きでもかまわないので普段書き慣れている書き方で問題ありません。

「誰が」「誰に」「何を」「どうする」を明確にする

遺言書は、遺言者の財産をどのように引き継がせたいのかの意思表示なので、「誰が」「誰に」「何を」「どうする」のかを明確に書いておきましょう。

誰が

通常「誰が」は遺言者本人です。
「遺言書(氏名)は」というふうに書き出します。
なお、遺言書の作成者は一人に限られるため、たとえば夫婦連名で遺言書を作成するようなことはできません。

誰に

遺言者との関係(妻・長男・長女など)や住所、氏名、生年月日で特定して「誰に」を明確にします。
特に、孫や内縁の妻など法定相続人以外の場合は、住所・氏名・生年月日まで記載して特定しておくのがよいでしょう。
なお、以下例としてあげている文章には特定事項を省略していますのでそれぞれ関係や住所など特定事項を追加して遺言書を作成してください。

予備的指定をすると安心

遺言書を作成した後に遺言書で指定した相続人や受遺者が遺言者よりも先に亡くなることがあります。
万一の場合を想定して、遺言者よりも「先に亡くなった場合」には「次順位者」になる方を指定する予備的指定をしておくと安心です。
たとえば、「内縁の妻が遺言者よりも先に亡くなった場合には内縁の妻の子に遺贈する。」としておくとよいでしょう。

何を

遺言書は遺言書に記載された事項によってのみ判断されます。
遺言書が活用されるのは、遺言者が亡くなった後ですので遺言者自身が追完することができません。

そのため、目的物を明確に指示しておきます。
不動産であれば登記記録の表題部に記載されている事項で特定します。

 土地:所在・地番・地目・地積
 建物:所在・地番・家屋番号・種類・構造・床面積など、

自動車の場合は、登録番号(ナンバー)種別・型式・車台番号、
預貯金であれば、金融機関名・支店名・預金の種類(普通、定期など)・口座番号、
有価証券なら証券会社名・支店名・口座番号・株式発行会社名・株式の種類・株数、
までを記載しておくとよいでしょう。

間違いを防ぐために登記事項証明書や通帳のコピーなどを目録として利用することもできます。
目録にはページごとに署名・押印をしなければならないので忘れないようにしましょう。
綴じ代に押印する「契印」では代用できないので注意しましょう。

また、目的物の「全部」なのか「一部(持分)」なのかも明確にしておきます。
下記土地の全部を長男Aに相続させる。
下記土地の持分2分の1を長男Aに持分2分の1を次男Bに相続させる。
といった記載になります。

なお、財産全部が目的であれば「財産全部」とすればよいので個々の財産を記載する必要はありません。

どうする

遺言者の意思表示なので、どうしたいのかを明確に記載します。
「託す」「任せる」と表現されている遺言書が散見されますが、意味があいまいになるためさけたほうが安心です。

また文言として、相続人には「相続させる」、相続人でなければ「遺贈する」というふうに財産を引き継ぐ方との身分関係で言葉が違うことに注意しましょう。

なお、下記のように条件付きで財産を引き継ぐことも可能です。
「1.Aに相続させる。
 2.Aは前項の負担として妻に月○○円支払い、身の回りの世話をする。」

遺言執行者を指定する

遺言書によって遺言執行者を必ず指定しておく必要はないのですが、指定した方がよい場合があります。

たとえば、遺言によって可能な事項としてある「認知」や「相続人の廃除」は「遺言執行者」が行います。
そのため遺言執行者が指定されていない場合は家庭裁判所によって選任してもらうことになります。

また、遺言執行者が指定されていれば相続人が複数いる場合に遺言執行者が相続人全員の代理人として手続きを進めることができるので煩雑になりがちな相続手続をスムーズに行えるメリットがあります。

遺言執行者には未成年者や破産者を除いて個人・法人を問わずなることができます。
相続人や受遺者など相続財産を取得する方はもちろん、第三者を指定することも可能です。

遺留分に注意する

「遺留分」とは、兄弟姉妹以外の法定相続人が最低限相続できる割合のことをいいます。
遺言書によって、「誰に」「何を」「どうする」かは遺言者が自由に指定することができますが、遺留分を侵害することはできません。

そのため遺言書を作成するときには次のことに気をつけましょう。

・遺留分を留保する
・現金を相続させる

もとより、相続人同士で争いになることはできるだけさけたいことなので、生前に遺言する理由を家族に話しておき相続人から理解を得ておくことが大切です。

遺留分を留保する

「遺留分を留保する」というのは、遺留分に相当する割合をそれぞれの相続人に相続させることです。
遺留分の割合は法定相続分の2分の1です。
たとえば、配偶者と子が相続人の場合には配偶者の遺留分は1/2×1/2=1/4です。
長男に財産を相続させたい場合には配偶者の遺留分を侵害しないように相続財産の4分の1を配偶者に相続させる遺言書を作成しておけば遺留分侵害の争いをさけることができるでしょう。

現金を相続させる

遺留分を侵害することがわかっていて遺言書を作成するときには、遺留分侵害額請求に備えて現金や預貯金など現金化しやすい財産も相続させると安心です。

民法改正によって「遺留分減殺請求」から「遺留分侵害額請求」と呼び方が変わり、遺留分を侵害された方の侵害部分の取り戻し方法は、「現物」から「現金(お金)」に変更されました。

そのため、遺留分を侵害された相続人からの遺留分侵害額請求に備えて支払いやすい現金や現金化しやすい財産を相続させておくと対応しやすく安心できるというわけです。

遺留分侵害額請求に備えて生命保険を活用することもできます。
生命保険に加入すれば現金や預貯金が保険料となり相続財産を減少させるメリットがあり、
受取人が指定してある生命保険は原則として相続財産ではないので遺産分割や遺留分侵害額請求の対象にもならないため、遺留分侵害額請求があったときに生命保険金を利用できることになります。

遺留分侵害額請求の順序を遺言書で指定できる

遺留分侵害額請求をする相手方となる相続人や侵害額請求の対象となる財産を遺言書で指定しておくことも可能です。
たとえば預貯金→山林→雑種地→宅地の順にするように遺言書で指定します。

まとめ

自筆証書遺言では紛失や改ざんのおそれがあるため、法務局で預かる「自筆証書遺言保管制度」があります。

また、自筆証書遺言では前記の保管制度を利用する場合を除いて家庭裁判所による「検認手続」が必要です。
このように自筆証書遺言にはいろいろな手続きがあり、また遺言書の作成方法を間違えているため無効であったり財産の特定が不十分なためせっかく作成した遺言書が相続手続に利用できない場合があったりします。

活用できる有効な遺言書を作成したい、残された家族がもめないように遺言書を作成したい、自筆証書遺言以外の遺言書について知っておきたい、と思われる方は当事務所にお気軽に相談してください。

この記事を担当した司法書士
ほり司法書士法人 司法書士 堀 智彰
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