相続登記義務化に関連する登記手続きの改正点を解説
- 2023.11.19
令和6年4月1日から相続登記が義務化されます。
相続登記の義務化については様々な公告がされているのでご存じの方も多いでしょう。
この義務化に関連して他の手続きについても様々な改正が行われています。
今回は相続登記義務化に関連する登記手続きの改正点や義務化にかかるペナルティなどについて詳しく解説します。
相続登記等が義務化される理由
相続登記等が義務化される理由は、所有者不明土地の問題を解決するためです。
所有者不明土地とは、登記簿上で所有者が分からない土地のことで、全国で約2000万件、約410万ヘクタール(九州の面積とほぼ同じ)にも及びます。
相続登記の義務化は、所有者不明土地の発生を防ぎ、土地の正確な所有者を把握することで、土地の有効活用や適切な管理を促進することを目的としています。
*この記事で利用している図表は特に指定がない場合は下記から引用しています。
令和3年民法・不動産登記法改正、 相続土地国庫帰属法のポイント
所有者が不明となっているために、公共事業や災害復旧・復興事業、民間取引などに支障がでています。
所有者が不明となっている主な原因として次の2点があげられており、相続登記の義務化ならびに住所変更登記の義務化などによりその解消をはかろうとするものです。
- ・不動産登記記録により所有者が直ちに判明しない
- ・所有者がわかってもその所在が不明で連絡がつかない
相続しても売却など名義変更をする必要がなければ相続登記をしなくても特段不利益を被ることが少なく、また、相続した不動産の価値が乏しく売却も困難であるような場合は費用や手間をかけてまで登記申請をする利益がないため、このようなときには積極的に相続登記をするインセンティブが働きにくく、相続登記がされないまま放置されている事案が多くありました。
また、住所を移転してもその都度変更するのはしなくても特別不利益はないため、費用や手間をかけてまでする必要性を感じていない方が多いようです。
なくそう、所有者不明土地! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
相続登記申請義務の内容
ここでは、登記義務の内容や申請内容、義務化に伴って注意しておきたい点について解説します。
申請・申告期限は3年以内
相続や遺贈によって不動産を取得した相続人は3年以内に相続登記をしなければなりません。
3年の期間は次の2つの条件を満たしたときから起算されます。
- 自己のために相続が開始したことを知ったとき
- 自己が所有権を取得したことを知ったとき
義務化の対象になる方は、相続や遺贈によって不動産を取得した相続人です。
また、遺産分割協議が成立したときには、その分割結果も登記しなければなりません。
さらに、相続人のうち相続放棄をした方がいる場合には、相続放棄後の割合による相続登記をする義務を負担します。
これらの登記義務もそれぞれ遺産分割協議や他の相続人が相続放棄をしたことを知ったときから起算して3年以内となります。
余裕をもって準備を始めましょう
相続が開始して3年間の猶予がありますが、次のような理由から余裕をもって準備を始めることをおすすめします。
戸籍収集に時間がかかる
管轄が違えば時間が倍かかる
戸籍収集に時間がかかる
相続登記には亡くなった方の出生から死亡まで連続した戸籍謄本、相続人の戸籍謄本(抄本)などが必要です。
亡くなった方が転籍をしていたり結婚して他県から入籍したりしたようなときには元の市区町村役場から戸籍を取り寄せることになります。
直接その市区町村役場に出向くことができればよいのですが、一般的には郵便で取り寄せることになり通常1週間以上かかります。
取り寄せた結果、新たに他の市区町村役場から取り寄せなければならないとなるとさらに1週間以上必要になることもあり、このようにして時間があっという間に過ぎてしまうことが多くあります。
管轄が違えば時間が倍かかる
法務局に申請をして登記が完了するまで一般的には1週間程度かかります。
複数の法務局に申請しなければならない場合は、法務局の数だけ日数がかかってしまうのです。
期限間近になってしまうと、せっかく相続登記の申請を始めたのに全部登記が完了しない間に期限を過ぎてしまったということにもなりかねません。
法務局の管轄は所在地ごとに定められており、大分県の場合は下記のようになっています。
相続財産の価額 |
報酬額(税込) |
---|---|
不動産の所在地 |
管轄する法務局 |
大分市 別府市 由布市 臼杵市 |
大分地方法務局 〒870-8513 大分市荷揚町7番5号 大分法務総合庁舎 電話:(097)532-3161
|
杵築市 国東市 速見郡日出町 |
杵築支局 〒873-0001 杵築市大字杵築665番地137 電話:(0978)62-2271 |
佐伯市 津久見市 |
佐伯支局 〒876-0815 佐伯市野岡町二丁目13番25号 電話:(0972)24-0772 |
竹田市 豊後大野市 |
竹田支局 〒878-0011 竹田市大字会々1525番地8 電話:(0974)62-2315 (0974)62-2800 |
中津市 |
中津支局 〒871-0031 中津市大字中殿550番地20 電話:(0979)22-0584 (0979)22-5442 |
宇佐市 豊後高田市 東国東郡姫島村 |
宇佐支局 〒879-0453 宇佐市大字上田1055番地1 宇佐合同庁舎2階 電話:(0978)32-0508 (0978)32-2376 |
日田市 玖珠郡(九重町、玖珠町) |
日田支局 〒877-0025 日田市田島二丁目11番46号 電話:(0973)22-2719 |
相続人が登記すべき申請内容
相続人が登記しなければならない事項は下記のようになります。
なお、事情により相続登記が申請できない場合でも、「相続人の申告登記」を申し出ることで登記義務を果たしたことになります。
遺言書があったとき
遺贈や「特定財産を相続させる」遺言によって不動産を相続した相続人は、遺言によって自分が相続したことを知ったときから3年以内に登記しなければなりません。
3年以内に遺産分割が成立したとき
3年以内に遺産分割協議が整えばその内容にそった相続登記を行います。
3年以内に相続登記ができないときは、3年以内に相続人申告登記の申し出をしておいて、遺産分割協議の成立した日から3年以内に遺産分割協議にそった相続登記を行えば義務を果たしたことになります。
3年以内に遺産分割が成立しなかったとき
3年以内に遺産分割協議が整わないおそれがあるときには、とりあえず法定相続分による相続登記または相続人申告登記の申し出を行っておきましょう。
その後遺産分割協議が整えば、遺産分割協議成立の日から3年以内に遺産分割協議の内容による相続登記を行います。
万一遺産分割協議が整わないままなら、新たな権利異動はないので登記申請の義務は負いません。
遺贈の単独申請が可能になった
今回の改正までは、遺贈の登記は登記義務者(相続人全員もしくは遺言執行者)と登記権利者(遺贈によって権利を取得した方)が共同して申請しなければならなかったのですが、令和5年4月1日からは遺贈を受けた相続人は単独で所有権移転登記ができることになりました。
従前は、遺言により遺言執行者が指定されていなければ家庭裁判所により遺言執行者を選任することもでき、相続人全員が協力すれば遺贈の登記が可能でしたが、必ずしも相続人全員からの協力が得られるとは限らずせっかく遺贈をされてもその登記ができない場合もあったのです。
なお、単独で申請できるのは相続人に限られているため、孫など相続人以外が遺贈された場合は改正前と変わらず共同申請によることとなります。
相続登記申請義務化の施行日やペナルティは?
令和6年4月1日から義務化されます。
施行日前に開始した相続についても義務化の対象ですが、それらの相続についても施行日から起算されますから、施行日に相続開始後3年経過しているからとして過料の制裁はありません。
申請義務違反のペナルティ
正当な理由がないのに登記申請をせず、相続人申告登記の申し出もしない場合は10万円以下の過料を払わなければならなくなります。
申請できない正当な理由とは?
相続登記を行うことができない正当な理由がある場合として次のような例があげられています。
- 数次相続が発生して相続人が多く複雑なため、戸籍等の取得や相続人の把握に時間がかかるような場合
- 遺言の有効性が争われている場合
- 重病などやむを得ない事情により登記申請が難しい場合
- DV被害などによって登記記録上に住所や氏名を載せたくない事情がある場合など
- 経済的な事情により登記申請が難しい場合
過料制裁に至るまでの手続きは?
登記官は申請義務違反であることがわかった場合、裁判所に通知をする前に相続人に対して相続登記または相続人申告をするように催告を行います。
催告をしても義務を果たさない場合には裁判所に対して過料通知を行いますが、催告に応じて相続登記などを行った場合には過料通知は行わないこととされています。
登記官が申請義務違反を認定するきっかけ
以下の事由で登記官が申請義務違反にあることを知ったときに申請の催告を行うこととされています。
法務省民二第927号 令和5 年9月12日 法 務 局 長 殿 地方法務局長 殿 法務
- 相続人が遺言書により特定の不動産の相続登記を申請した場合に、その遺言書に他の不動産についてもその相続人に対して遺贈または承継させる旨が記載されている場合
- 相続人が遺産分割協議書を添付して相続登記を申請した場合に、その遺産分割協議書に他の不動産についてもその相続人が取得する旨が記載されている場合
登記記録の名寄せができる所有不動産記録証明制度
現在の制度では登記記録は土地建物の不動産ごとに編成されているので、所有者から所有する不動産を網羅的に抽出することができません。
そのため、相続対象の不動産を特定するためには手元にある被相続人名義の権利証で物件を特定する、市区町村役場から発行される名寄帳(特定人名義で抽出した不動産固定資産税課税台帳)により特定する、などの方法によることなりますが、これらの方法では全ての相続財産を把握することができず、もれてしまった財産については相続登記がされないままになってしまいます。
そのため、登記記録上から所有権の登記名義人として記録されている不動産を一覧的にリスト化して証明書を発行する制度を創設することにより、被相続人名義の不動産を把握できるように改正されたものです。
なお、この制度は令和8年2月2日から利用できることとされています。
請求できる方
所有不動産記録証明を請求できるのは次の方です。
- 自己が所有権の登記名義人として記録されている者
- 相続人その他の一般承継人
相続人申告登記とは
相続人申告登記とは、相続によって不動産を取得した相続人が、相続人であることを法務局に申し出ることで相続登記の義務を一時的に履行したものとみなす制度です。
この制度があることで、遺産分割協議が長期化して相続登記の期限である3年以内に間に合わない場合などに、相続人はペナルティを免れることができます。
相続人申告登記は、相続登記の代わりになるものではありません。
例えば、相続人申告登記を行っていても、遺産分割協議が成立したら3年以内に相続登記をする必要があります。
相続人申告登記のメリットは、簡易な方法で相続登記の義務を履行できることです。
相続人申告登記の手続き
相続人申告登記は、複数の相続人がいる場合でも一人から申請でき、以下の事項を届け出ることで申告義務を果たしたことになります。
- 被相続人について相続が開始した旨
- 申請人が相続人である旨
申告登記の申し出を受けた登記官は申出人の住所・氏名等を付記登記します。
これにより、登記記録をみることで被相続人が亡くなったこと相続人の住所・氏名を容易に把握することができるようになります。
なお、申告によって登記義務を果たしたことになるのは申告をした方だけです。
相続人が複数いる場合には、相続人全員がそれぞれ登記義務を負っているので相続人のうち一人が相続人申告登記をしても他の申告をしない方については登記義務を果たしたことにはならないので注意しましょう。
管轄
管轄は相続登記と同じく不動産がある地域の法務局です。
不動産の管轄が違えばそれぞれの法務局に申請をしなければならないので注意しましょう。
添付書類
申告登記の申し出は、法定相続人の範囲や法定相続分の割合を登記する必要がなく、申請人が相続人であることがわかる戸籍謄本(住所も登記事項となるため住民票も添付書類になると思われます。)を提出すれば足りるので、相続登記を申請するよりも負担が少なくてすみます。
他の共同相続人から依頼があればその相続人に代わって申出することも可能ですので、その場合は委任状を発行してもらえば代わりに申出することもできます。
なお、相続登記申告登記は非課税なので、登録免許税は不要です。
相続人申告登記の特長
新しい制度なので、相続人申告登記の特長をよく理解して利用しましょう。
- 相続登記をしなくても登記申請の義務を果たしたことになる
- 登記記録に申出人の住所・氏名が記録される
- 複数の相続人がいても一人だけで申し出ができ、他の相続人の協力が不要
- 申出人が相続人にあたることがわかる範囲の戸籍謄本を添付すれば足りる
- 相続人全員を調査する必要がないので手早く手続きができる
- 法定相続人を確定する必要がなく、相続分の計算も不要
- 無料で手続きができる
以上のように、とても簡便で便利な制度のように思えますが、相続人申告登記の申出はあくまでも「仮の」手続きなので、いずれは正式に相続登記をすることになるので注意しましょう。
また、登記記録に相続人として住所・氏名が記録され公示されることで、次のようなデメリットも想定されます。
- 固定資産税の請求が届く
- 営業の連絡がくる可能性がある
- 相続人代表として対応を迫られるおそれがある
相続人申告登記の有無に関わらず、最近開始した相続の場合は、相続人の把握が容易なので市区町村役場から固定資産税の納税義務者を指定するように問い合わせを受けることはよくあります。
長年放置されていて相続人が不明になっている不動産の場合には、相続人申告登記の申出を行うことで固定資産税の請求が届く可能性が高くなるということはあるでしょう。
自分一人だけが相続人として記録されることに抵抗がある場合は、他の相続人から委任を受けてまとめて申出をすることも可能です。
住所変更登記申請の義務化と職権登記
住所変更登記申請の義務化とは、不動産登記名義人(所有者)の住所や氏名に変更があった場合、その変更を登記簿に反映させることを義務付ける制度です。
この制度は、不動産登記法の改正により、令和8年4月1日から施行される予定です。
住所変更登記申請の義務化の主な内容は以下のとおりです。
- 住所や氏名の変更があった場合は登記申請義務がある。
- 申請期限は変更があった日から2年以内。
- 申請を怠った場合には、5万円以下の過料のペナルティがある。
- 登記官は、住所や氏名の変更を確認した場合、所有者の了承を得た上で職権により変更登記を行うことができる。
申請義務違反のペナルティ
正当な理由がないのに登記申請をしない場合は5万円以下の過料の制裁があります。
なお、対象は住所の変更だけでなく、氏名に変更があった場合も含まれます。
経過措置
施行日前に住所等が変更されている場合にも義務化されますが、相続登記の場合と同じく起算日は施行日からとなります。
職権登記の手続き
自然人(個人)の場合は、所有権の登記名義人から住所・氏名のほかに生年月日・性別・名前のふりがな等の「検索のための情報」を提供してもらいます。
検索用情報等をもとにして、法務局が定期的に住基ネットに照会をして所有権登記名義人の住所や氏名に異動がないかを確認します。
住所や氏名に異動があったときには、法務局から所有権の登記名義人に連絡し、住所等の変更登記を職権で行うことの了解を得られた場合には職権により住所等の変更登記を行います。
法人の場合には、法人登記も法務局の管轄なので、法務省内のシステム間で連携することにより商業・法人登記システムから不動産登記システムに変更があったことが通知されるので住所等の変更があったことを把握することができます。
法人の場合は本人に変更登記を行うことの了解を得ずに変更があれば自動的に職権登記がされることになっています。
なお、今回の改正に合わせて所有権の登記名義人である法人を厳格に特定するため会社法人番号も登記事項とされることになっています。
死亡情報の符号表示
上記の住基ネットに照会したことなどによって所有権の登記名義人が死亡したことがわかれば職権により登記記録に名義人が死亡したことが符号により公示されることになります。(令和8年4月1日施行)
また、住基ネット以外にも固定資産税課税台帳等も活用して名義人の死亡情報を把握することが予定されています。
登記の公示機能を高めるためのその他の改正
登記の公示機能を高めるための改正とは、不動産登記において、実体的な権利関係と登記内容との乖離を防ぎ、登記簿の信頼性を向上させることを目的とした法改正のことです。
具体的には、以下のような改正が行われました。
- 外国に居住する所有権登記名義人の国内連絡先の登記
- 形骸化した登記の抹消手続きの簡略化
外国居住者の国内連絡先の登記
不動産取引においてもグローバル化が進展する中で、海外に移住する日本人が増えていることや海外投資家が国内の不動産を取得するケースが増えています。
海外では日本のように住所の公示制度が整備されていないことも少なくないことから、登記記録に記録されている住所・氏名だけでは所有者へアクセスするのが難しい場合もあります。
そのため、所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときには、国内で連絡が可能な方の住所・氏名も登記することとなりました。(令和6年4月1日施行)
ただし、当面の間は「連絡先がない」旨の登記も許容される予定です。
自然人でも法人でも国内連絡先になることができます。
登記記録上で記載されることで一定の宣伝効果も期待されるでしょう。
しかし、連絡先の記載には注意も必要です。
現在でも登記申請書に申請人は電話番号を記載していますが、申請書の情報から県税事務所(取得税)や国税などから問い合わせがあることがあります。
国外との取引ということになると「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策」についてもいっそう注意が必要となり、関係署からの問い合わせに十分耐えうるような体制を整えておくことが必要でしょう。
形骸化登記抹消登記の簡略化
形骸化登記抹消登記の簡略化とは、不動産登記法の改正により、存続期間が過ぎている地上権や賃借権などの権利や、担保権者が解散した法人の抵当権や質権などの権利を、不動産所有者が単独で登記の抹消を申請できるようになった制度です。
これまでは、これらの権利の抹消登記をするためには、権利者と不動産所有者が共同で申請する必要がありましたが、権利者の所在が不明だったり、協力的でなかったりする場合が多く、手続きが困難なことがありました。
この制度の目的は、古い登記が不動産取引の障害となることを防ぎ、不動産の流動性を高めることです。
この制度は、令和5年4月1日から施行された不動産登記法の改正により導入され、施行日前に登記されている権利についても、この制度を利用できます。
買戻し登記の抹消
買戻しの特約がされた売買契約の日から10年を経過しているときには、登記権利者が単独で買戻し特約の抹消登記が可能となりました。
改正前は登記名義人(買戻し権利者)から委任状や登記済証(登記識別情報通知書)を預かる必要がありましたが、買戻し期間の最長期間は10年とされていること、期間を定めた後に延長はできないので、10年を経過していれば消滅している可能性が高いことから簡略化されたものです。
地上権等の抹消
登記された地上権等の権利に関する登記について地上権者等の所在がわからないときには登記権利者が単独でその地上権等の抹消を申請できることとされています。
存続期間が登記されている権利で、抵当権や根抵当権は除外されているので、対象となる権利は、地上権・永小作権・質権・賃借権・採石権などになります。
まず公的書類等で地上権者等の所在を調査しても判明しないときには、現地調査等を要せず、公示催告の申立てを行い、除権判決を得ることで単独申請ができることとされました。
具体的な調査方法としては個人の場合、登記記録上の住所から住民票や戸籍などを調査し郵便物が不送達となることを確認するなどの方法によります。
法人の場合には法人の登記事項証明書等(閉鎖登記簿を含む)が取得できるかを確認します。
登記事項証明書等が取得できなければそれ以上の調査は不可能として完了です。
登記事項証明書が取得できるときには、法人の住所宛に郵便物を発送し届かないことを確認します。
また登記されている役員の住所に宛てても郵便物を発送し不送達になることを確認します。
なお、代表者が亡くなっている場合でも代表者の相続人を調査したり、新たに代表者を選定したりする必要はありません。
解散した法人の担保権抹消
返済が終わっている抵当権などが抹消されないまま放置されている場合には、公示催告のほか、供託する方法で抹消登記を単独で行うことができるとされていました。
今回の改正により、解散した法人が担保権者となっている担保権について、より簡便に単独で抹消登記ができることとされています。
以下の要件を満たすときには、供託等をしなくても登記権利者が単独で担保権の抹消登記を申請することができます。
- 解散した法人の清算人が判明しないために抹消登記ができない場合
- 法人の解散後30年が経過
- 被担保債権の弁済期から30年が経過
まとめ
この記事では「相続登記の義務化」や義務化に関連した登記制度の改正について解説しました。
今回の改正は、所有者不明土地の解消のために行われるもので、同様の目的をもって他にも相続が発生したときに必要なものだけ相続し、維持・管理が困難な土地を手放せる「相続土地国庫帰属制度」の創設や「遺産分割のルールの改正」などがされています。
本サイトでは、相続に関するいろいろな情報を詳しく解説していますので、ぜひ他の記事も参考にしてください。
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