【司法書士が解説!】親が亡くなったときにすること
親が亡くなったときには、悲しくさびしいものですが、十分に悲しむ間もないほどすることが多く手続きに忙殺されてしまうほどです。
この記事では、親が亡くなったときに必要になる手続きについて解説します。
親が亡くなったときに必要になる手続き
親が亡くなったときに必要になる手続きは、以下のように分類できます。
- ● 葬儀や火葬の手続き
- ● 公的な手続き(年金、保険、税金など)
- ● 遺産相続の手続き
- ● 公共料金その他の名義変更や廃止
それぞれの手続きには期限や必要書類がありますので、注意して進めてください。
葬儀や火葬の手続き
まずは亡骸を埋葬できるようにしなければなりません。
死亡診断書や死亡検案書の入手
親が亡くなったときには、はじめに「死亡診断書」を発行してもらいましょう。
死亡診断書は火葬するときや死亡届、保険金の請求などの手続きに必要になります。
死亡診断書は病院で亡くなったときには病院の医師が作成してくれます。
自宅や介護施設で亡くなったときにはかかりつけ医などに相談して発行してもらいましょう。
事故や事件などの突然死や死因がはっきりとしない場合には警察が検死を行います。
この場合には「死体検案書」が発行されます。
発行費用は死亡診断書の場合には公立や私立で費用に差がありますが一般的には3,000円~10,000程度です。
死亡検案書の場合には死因調査のための検案、遺体の搬送、保管の費用がかかるので、ケースによりますが、30,000円~100,000円程度になることが多いです。
火葬許可証の取得
亡くなった際には葬儀などのために葬儀社に依頼することが一般的ですが、ほとんどの葬儀社が死亡届の提出や「火葬許可証」の取得を代行してくれます。
ただし、死亡届は家族など(親族や同居者、家主など)が記載しなければなりません。
火葬が済んだら火葬済みの印が押され、こちらが「埋葬許可証」になります。
死亡届はコピーを保管
死亡届は死亡診断書(死体検案書)と一体になっており、死亡診断書は後日生命保険金の請求、年金受給の停止手続き、預金口座の名義変更などに必要になるので、必ずコピーを保管しておきましょう。
死亡届はほとんどの場合返却してもらえません。
病院などで死亡証明書を再発行してもらうこともできますが、再発行の手数料がかかります。
公的な手続き(年金、保険、税金など)
年金や健康保険・介護保険、相続税などの手続きが必要になります。
年金の手続き
亡くなった方が年金を受給していたときには、年金受給の停止手続きをしなければなりません。
年金事務所や街角の年金相談センターで手続きを行います。
なお、マイナンバーを日本年金機構に登録しているときには届出は不要です。
一定の場合には遺族年金や死亡一時金などを受け取ることができるので、該当するときには手続きを行います。
また、未支給年金の請求も忘れずに行いましょう。
健康保険や介護保険の手続き
健康保険に加入していた方や介護保険を受給していた方は保険資格喪失届を市区町村役場に提出しなければなりません。
市区町村役場によっては、死亡届を提出することで資格喪失が行われたり、介護保険被保険者証を返却することで手続きが終わったりする場合もあります。
事前に市区町村役場に確認しましょう。
死亡による介護保険の資格喪失によって、介護保険料の清算が行われます。
また、高額療養費の申請や、健康保険などに加入していた方が亡くなったときには葬祭費や埋葬費が支給されるので交付請求を行いましょう。
税金の手続き
相続税の申告は亡くなってから10か月以内に行います。
相続税の基礎控除額は
(3,000万円+相続人数×600万円)
となっています。
親が確定申告をしていた場合には、相続人は4か月以内に準確定申告をしなければならないことに注意しましょう。
相続税の計算では、土地の場合は路線価での計算をしたり、いろいろな控除制度があったりして複雑な場合もあります。
そのようなときには専門家の税理士に相談するとよいでしょう。
固定資産税
土地や建物には固定資産税がかかり、相続人が納税義務を相続して引き継ぎます。
所有者が亡くなったことがわかると市区町村役場から次年度からの納税義務者を申告するように通知が届くことがあります。
なお、12月末までに相続登記をした場合は次年度(翌年の4月以降)の固定資産税は新しい所有者に対して自動的に課税されます。
遺産相続の手続き
埋葬や公的な手続きを終えてひと段落したら、相続した財産を承継する手続きを行いましょう。
相続人の確定
各種相続手続きを進めていくためには、亡くなった方の相続人は誰になるかがとても重要です。
相続人を確定するためには、亡くなった方の出生から死亡まで連続した戸籍が必要です。
相続人になる方は法律で定められており、子(直系卑属)、親(直系尊属)、兄弟姉妹の順に相続人になり、配偶者は常に相続人になります。
集めた戸籍は不動産や預金の相続、相続税申告などいろいろな場所に提出することになります。
提出先ごとにコピーをするのは大変ですが、法務局に申し出ると「法定相続情報証明書」を発行してくれるので、この証明書を利用するとコピーの手間が省けて便利です。
相続財産の調査
親が亡くなったら、相続税の申告や遺産の分配などをするために相続財産がどのくらいあるかを調査します。
調査する方法としては、固定資産税の納税通知書、通帳や権利書、各種機関からの通知書やお知らせなどを探すことが考えられます。
インターネット上でのみ取引される銀行や証券口座、仮想通貨などはわかりにくいことがあるので、注意しましょう。
不動産や預貯金、株式などプラスの財産だけでなく、亡くなった方が負担していた借入金などのマイナスの財産も自動的に相続します。
保証債務などわかりにくいマイナスの財産もあるので注意してさがしましょう。
相続放棄には期限がある
「プラスの財産だけを相続してマイナスの財産は相続しない。」という選択はできません。
なお、マイナスの財産が多いなど相続をしたくないときには「相続放棄」をすることができます。
また、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を清算する「限定承認」をすることもできます。
ただし、相続放棄等は原則として、亡くなったときから3か月以内に家庭裁判所に届け出る必要があるので注意しましょう。
遺言書の確認
亡くなった方が遺言書を残していないか探してみましょう。
大事なものを納めていた引き出しや棚などに一緒に保管されていることが多いようです。
公正証書遺言は公証人役場で保管されており、自筆証書遺言を法務局に預けていることもあるので問い合わせてみるのもよいでしょう。
遺言書があれば、基本的には遺言書の内容にそって遺産を引き継ぐことになるのでその場合は遺産分割協議は不要です。
なお、法務局に預けていない自筆証書遺言の場合には家庭裁判所に「検認」の申立をしなければならないので注意しましょう。
相続土地国庫帰属制度
「価値がある都市部の不動産は相続するけど、利用する予定がない田舎の土地は相続しない。」という選択もできません。
しかし、相続した土地を国が引き取ってくれる制度が令和5年4月27日からスタートしています。
引き取ってもらえる土地には制限があり、引き取ってもらうために費用も必要になりますが、利用しないからといって放置しておけば災害や環境破壊などの悪影響を及ぼすおそれもあることから、「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討することもよいでしょう。
不動産の相続登記が義務化
相続登記は令和6年4月1日から義務化されます。
義務化以降は、令和6年4月1日より前に開始した相続にも適用されるので注意しましょう。
相続が開始したことおよび自分が相続によって所有権を取得したことを知った時から3年以内に相続登記をしなければならず、そのままにしておくと10万円以下の過料が課されるおそれがあります。
相続登記を申請するのが難しい場合には、「相続人申告制度」という代替え制度もあるので、こちらを利用する方法もあります。
遺産の分割
土地や建物、銀行預金などを誰がいくら相続するのかを相続人全員で話し合いをしましょう。
話し合いがまとまったときには「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が記名したうえで実印を押捺し印鑑証明書をセットにして保管しておきます。
遺産分割協議書は後日手続きをする相続登記や預金の払戻などに利用します。
遺産分割協議書の記載が不十分だと利用できなくて作り直す必要があるおそれもあります。
不動産登記情報や預金通帳などを参考にして正確に作成しましょう。
なお、遺産分割の話し合いがうまくまとまらないときには、「遺産分割調停」や「遺産分割審判」、裁判上での話し合いとなります。
公共料金その他の名義変更や廃止
公共料金やNHK、固定電話や携帯電話などの各種サービスの停止手続きを行いましょう。
電気、ガス、水道などのライフラインは気が付きやすいものですが、インターネットのプロバイダー契約、クレジットカード、各種サブスクリプションサービス、新聞・雑誌の定期購読など継続的な支払がないかを確認しましょう。
まとめ
以上のように、親が亡くなったときには悲しむ間もなくしなければならないことがたくさんあります。
紙幅の関係でここでは詳しく手続きの内容全部を解説できませんが、当法人のサイトではそれぞれ詳しく解説していますから、そちらを参考にしてください。
また、司法書士は相続登記の専門家です。
相続手続きに不安や悩みがあれば遠慮なく当法人に相談なさってください。
最後に主な手続きの日程一覧表をあげておきますから参考になさってください。
なお、このほかにも請求できる期間が定められていて期限後は請求できなくなる権利もあるので注意しましょう。
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