【大分県編】年金受給者が亡くなった時の必要な手続き
近親者が亡くなり、寂しい気持ちでふさがってしまいがちですが、相続手続きは待ってはくれません。
相続手続きには、期限が切られているものが多く、年金手続きも例外ではありません。
放っておけば不正な受け取りになったり、本来請求できる権利がなくなってしまったりします。
この記事では、年金受給権者が亡くなったときに必要な手続きについて解説します。
必要な手続きを把握して不正請求を防止し、請求できる権利はしっかりと請求しましょう。
年金を受け取っている方が亡くなったときの手続き
年金を受け取っている方が亡くなったときに必要な手続きは以下の3つです。
1.年金受給権者死亡届の提出
2.未支給年金の受取
3.遺族年金等の受取
年金受給権者死亡届の提出
年金を受け取っていた方が亡くなった場合、年金事務所や街角の年金相談センターに「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出する必要があります。
ただし、日本年金機構に個人番号(マイナンバー)が収録されている方は、年金受給権者死亡届を省略できる場合があります。
なお、市区町村役場に死亡届を提出しても年金受給権者死亡届が必要なので注意しましょう。
届出用紙の入手方法
年金受給権者死亡届は以下の方法で入手できます。
- ・年金事務所、街角の年金相談センターで受取る
- ・ねんきんダイヤル(0570-05-1165)に電話して送ってもらう
- ・ダウンロードして印刷する
年金事務所の場所は下記リンクから最寄りの事務所を検索することができます。
なお大分県では下記の事務所があります。
出張相談も実施されているので利用しやすくなっています。
年金事務所・相談センター名 |
出張相談のご案内 |
出張相談のご案内 |
|
各事務所のバリアフリー状況が下記のリンクで確認できます。
それぞれの事務所が管轄する区域は下表のようになっていますが、原則的に個人の相談は全国どこの年金事務所でも受け付けられます。
届出用紙は以下のリンクからダウンロードできます。
なお、ねんきんダイヤルは混みあうことが多いのでつながりにくいことがあります。
電話する前に亡くなった方の
- ・名前
- ・基礎年金番号
- ・年金証書番号
をすぐに言えるように準備しておくとスムーズにすすみます。
用意する書類
以下の書類を準備しましょう。
- ・亡くなった方の年金証書
- ・死亡が確認できる公的な書類(下記のいずれか一つ)
- ・住民票の除票
- ・戸籍抄本
- ・死亡診断書のコピー・死亡届の記載事項証明書
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提出期限
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以下のように死亡届の提出期限まで期間が短いので早めにすませましょう。
- ・国民年金:死亡した日から14日以内
- ・厚生年金・共済年金:死亡日から10日以内
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未支給年金の受取
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未支給年金の請求手続きは先の死亡届と同時にできます。
こちらのリンク先に未支給年金の請求書と死亡届の用紙があるので、ダウンロードして利用してください。
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未支給年金が発生する理由
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年金は1年間に6回、原則として偶数月の15日に後払いで支払われます。
4月に支払われるのは2月・3月分のように後払いなので、必ず未支給年金が発生します。また、年金は日割り計算をしないで月単位での計算です。
たとえば、3月15日に亡くなった場合は2月分と3月分が未支給年金になります。 -
請求できる方
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まず注意をしたいのは、請求できる方は亡くなった方と「生計を同じくしていた方」に限られることです。
また、未支給年金を請求できる順位が決まっていて以下のようになっています。
民法による相続とは違うので注意しましょう。
- 1.配偶者(内縁関係でも請求できます)
- 2.子
- 3.父母
- 4.孫
- 5.祖父母
- 6.兄弟姉妹
- 7.その他の3親等以内の親族
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用意する書類
- 次のような書類を準備しましょう。
- ・亡くなった方の年金証書
- ・亡くなった方と請求する方の続柄が確認できる書類(戸籍謄本または法定相続情報一覧図の写し等)
- ・亡くなった方と請求する方が同一生計だったことがわかる書類
(亡くなった方の住民票の除票および請求する方の世帯全員の住民票の写し)
(別世帯の場合は「生計同一関係に関する申立書」)- ・受け取りを希望する金融機関の通帳(コピーで可)
「生計を同じくする」意味は、亡くなった方の収入で生活していることなので必ずしも同一世帯である必要はなく、仕送りを受けて生活をしていた場合なども含みます。
このようなときに「生計同一関係に関する申立書」を準備しましょう。 -
請求期限
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請求期限は最後の年金支払日の翌月初日から5年以内です。
原則的には未支給年金の請求と死亡届は同時にしますが、マイナンバーが登録されており死亡届(報告書)が不要な場合、未支給年金の請求を忘れがちです。
手続きを忘れていることに気づいたら早めに請求しましょう。
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受取ったら一時所得
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未支給年金は相続財産ではなく、受け取った方の一時所得になります。
そのため、相続税はかからず遺産分割の対象でもありません。また、相続放棄をしていても請求できます。
なお、他の一時所得と合わせて50万円を超えると確定申告をしなければならないこともあるので注意しましょう。 -
遺族年金等の受取
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国民年金や厚生年金を納付している方などの遺族は、一定の条件にあてはまるとき下記の遺族年金等を受け取ることができます。
- ・遺族基礎年金
- ・遺族厚生年金
- ・寡婦年金(かふねんきん)
- ・死亡一時金
詳しくは下記年金ガイドを参照してください。
令和5年度版遺族年金ガイド -
遺族基礎年金
- 遺族年金は、国民年金を納付している方などが亡くなったときに、亡くなった方に生計を維持されていた一定の遺族が受け取ることができる基礎年金です。
遺族基礎年金だけの請求なら市区町村役場で手続きができます。
受給資格や支給要件は次のようになっています。 -
受取ることができる方
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遺族基礎年金を受け取ることができる方は原則として以下の条件を満たす必要があります。
- ・亡くなった方に生計を維持されていた
(原則として受給権者の年収が850万円未満であることが条件になっています)
- ・18歳未満の子がいる配偶者
- ・子
さらに「子」にも次のような条件があります。
- 1.18歳になった年度の末日(3月31日)までにある方
または
- 2.20歳未満の子で障害年金の障害等級1級あるいは2級の状態にある方
- 3.婚姻していない
(上記1.~3.は「18歳未満の子がいる配偶者」を判断する「子」の条件でもあります)
- 4.子のある配偶者が遺族基礎年金を受け取っていない
- 5.子に生計を同じくする父または母がいない
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遺族厚生年金
- 遺族厚生年金は「厚生年金」の被保険者あるいは被保険者であった方が亡くなったときに一定の遺族が受け取ることができる年金です。
遺族基礎年金は国民年金、遺族厚生年金は厚生年金にそれぞれ基づく別個の年金です。
要件を満たせば両方の年金を受け取ることができます。 -
受取ることができる方
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亡くなった方によって生計を維持されていた方が受け取ることができます。
ただし、原則として年収は850万円未満であることとされています。
受け取ることができる順位が定められていますので、下記の表を参照してください。 -
遺族年金ガイド令和5年度分より
- 1. 妻
遺族年金受給の最優先順位です。
「子のある」「子がない」で遺族年金の種類が異なります。
30歳未満の子のない妻は5年間の有期給付です。 - 2. 子と孫
次のa.とb.のいずれかを満たし、かつ、婚姻していないことが条件です。
- a.死亡当時、18歳になった年度の末日(3月31日)までにあること
(死亡当時に胎児である子は出生したら対象)または
- b.20歳未満で障害等級1級または2級の障害の状態にあること
「子のある妻」 または 「子のある55 歳以上の夫」 が遺族年金を受け取っている間は 「子」 に遺族年金は支給されません 。
- 3.夫
被保険者の死亡当時55歳以上であることが原則で、「子のある」「子がない」で遺族年金の種類が異なります。
受給開始は60歳ですが、遺族基礎年金を受給中であれば60歳以前でも遺族厚生年金をあわせて受け取ることができます。
- 4.父母、祖父母
被保険者の死亡当時55歳以上であること。
受給開始は60歳です。
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寡婦年金(かふねんきん)
- 以下の条件を満たしている「妻」(夫は除外)に支給される年金です。
なお、死亡一時金を受け取ると寡婦年金を受け取ることができなくなります。 -
受取ることができる方
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- ・10年以上継続した婚姻関係(内縁を含む)
- ・生計を維持されていた妻
- ・60歳から65歳になるまでの間
寡婦年金は第1号被保険者の夫が亡くなったときに支給されるものです。
厚生年金保険や共済組合等に加入している方は第2号被保険者なので第1号被保険者ではなく、寡婦年金の対象外です。 -
死亡一時金
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国民年金の第 1号被保険者または任意加入被保険者として国民年金保険料を納めた期間が36 月以上の方が、老齢基礎年金、障害基礎年金のいずれも受けないまま死亡したときに受け取ることができる一時金です。
寡婦年金との選択になるため、どちらか一方のみを受け取ることになります。
- 1. 妻